無罪判決を勝ち取るまで58年

袴田巖

2024
926

再審無罪判決

20249月26日、静岡地裁(国井恒志裁判長)は袴田巖氏に再審無罪判決を言い渡し、10月9日に検察官が上訴権を放棄、無罪判決が確定。巖さんへのいわれなき暴力の嵐がこのような結果で幕を閉じたのでした。半世紀にわたって巖さんを力強く支援してきた姉のひで子さんは、一貫して無実の叫びを続けてきた弟に対して「あんたの言ったとおりになったよ」と沸き立つ思いで告げ知らせました。

判決は、取調べという名の拷問による自白、犯行着衣とされ、有罪証拠らしかった唯一の証拠である5点の衣類、それに付随するズボンの端切れ。それらは捜査当局によるねつ造であったと断定。警察官による許されざる「犯罪捜査」が行われたことを説示。國井裁判長は被告の巖さんを無罪とし、捜査当局(警察、検察官)を有罪としたのです。法曹関係者の多くが、「ねつ造」という言葉を何度も目にする判決なんて見た試しがない、と感想を洩らすほどでした。

10月8日、検察が控訴を断念し、再審無罪判決が確定しました。

2025
324

刑事補償決定

再審無罪を宣告した静岡地方裁判所(国井恒志裁判長)が袴田巌さんに対し、約2億1700万円の刑事補償金を国に交付するよう命じました。これは刑事補償としては過去最高額。逮捕から釈放までの約47年7か月にわたる身体拘束、特に約33年間に及ぶ死刑囚としての拘置による精神的・身体的苦痛は極めて甚大であると指摘。保証金額は刑事補償法に基づき、1日あたりの上限額を適用して算出されたのです。

これに対し、検察(静岡地方検察庁)は抗告せず、この決定が確定しました。

2025
109
起訴

国家賠償請求訴訟

袴田巌さんが原告。国と静岡県に対する国家賠償請求訴訟は、静岡地方裁判所(中尾和光裁判長)で、2025年10月9日の提訴から始まりました。第1回口頭弁論はまだ開催されておらず、年明け以降となる見込みです。

弁護士10名から成る訴訟のための国賠弁護団が結成されています。弁護団長は小川秀世弁護士。

弁護団は再審無罪判決を一応は評価するものの国家が犯した過ちは到底償いきれないと受け止めています。そして国賠訴訟では、警察の捜査から検察の捜査と訴訟、裁判所の違法を明らかにすることに主眼を置いています。これまでの裁判では裁判所の不正で違法な手続きが訴訟で争われたことはなかったのでしたが、そこにまで踏み込んでえん罪袴田事件の病弊と真実を立証する方針です。

損害賠償請求金額は
6億円余です。

を応援する