
失われた自由、
傷つけられた名誉。
そのすべてに、
正当な償いを。
無罪判決を勝ち取るまで58年
袴田巖

「無罪」だけで、
終わらせてはいけない。
こうしたことが解明されなければ、巖さんにとっても、そして被害者4人の遺族の方々にとっても、この事件は終わったことにはならないのです。また、それが解明されなければ、再び同じような事態が生じるかもしれないのです。
私たちは、このような問題意識をもって、この損害賠償請求訴訟を提起したものです。ですから、この訴訟の中でできる限り、以上の問題を明らかにしたいと考えています。そして、この訴訟で私たちが提出し、相手方である国や県から提出される裁判記録は、できる限りこのホームページでも閲覧することができるようにし、皆さんからのご意見もお聞きしたいと考えています。
私たちは、以上のような考えをもってこの訴訟を追行していきたいと考えています。そのために、皆さんも私たちの考えを理解していただき、応援していただくようお願い申し上げる次第です。
訴状全文の公開について
本訴訟の提起にあたり、静岡地方裁判所に提出した訴状の全文を公開いたします。 警察・検察による証拠捏造などの違法行為に関する具体的な主張や、国に対して賠償を求める法的な根拠について詳述しています。私たちが法廷で何を問い、何を明らかにしようとしているのか、ぜひその目でお確かめください。


袴田事件、再審無罪判決と
刑事補償から国家賠償請求訴訟へ
袴田事件、再審無罪判決と
刑事補償から国家賠償請求訴訟へ
2024年
9月26日
再審無罪判決
20249月26日、静岡地裁(国井恒志裁判長)は袴田巖氏に再審無罪判決を言い渡し、10月9日に検察官が上訴権を放棄、無罪判決が確定。巖さんへのいわれなき暴力の嵐がこのような結果で幕を閉じたのでした。半世紀にわたって巖さんを力強く支援してきた姉のひで子さんは、一貫して無実の叫びを続けてきた弟に対して「あんたの言ったとおりになったよ」と沸き立つ思いで告げ知らせました。
判決は、取調べという名の拷問による自白、犯行着衣とされ、有罪証拠らしかった唯一の証拠である5点の衣類、それに付随するズボンの端切れ。それらは捜査当局によるねつ造であったと断定。警察官による許されざる「犯罪捜査」が行われたことを説示。國井裁判長は被告の巖さんを無罪とし、捜査当局(警察、検察官)を有罪としたのです。法曹関係者の多くが、「ねつ造」という言葉を何度も目にする判決なんて見た試しがない、と感想を洩らすほどでした。
10月8日、検察が控訴を断念し、再審無罪判決が確定しました。
2025年
3月24日
刑事補償決定
再審無罪を宣告した静岡地方裁判所(国井恒志裁判長)が袴田巌さんに対し、約2億1700万円の刑事補償金を国に交付するよう命じました。これは刑事補償としては過去最高額。逮捕から釈放までの約47年7か月にわたる身体拘束、特に約33年間に及ぶ死刑囚としての拘置による精神的・身体的苦痛は極めて甚大であると指摘。保証金額は刑事補償法に基づき、1日あたりの上限額を適用して算出されたのです。
これに対し、検察(静岡地方検察庁)は抗告せず、この決定が確定しました。
2025年
10月9日
起訴
国家賠償請求訴訟
袴田巌さんが原告。国と静岡県に対する国家賠償請求訴訟は、静岡地方裁判所(中尾和光裁判長)で、2025年10月9日の提訴から始まりました。第1回口頭弁論はまだ開催されておらず、年明け以降となる見込みです。
弁護士10名から成る訴訟のための国賠弁護団が結成されています。弁護団長は小川秀世弁護士。
弁護団は再審無罪判決を一応は評価するものの国家が犯した過ちは到底償いきれないと受け止めています。そして国賠訴訟では、警察の捜査から検察の捜査と訴訟、裁判所の違法を明らかにすることに主眼を置いています。これまでの裁判では裁判所の不正で違法な手続きが訴訟で争われたことはなかったのでしたが、そこにまで踏み込んでえん罪袴田事件の病弊と真実を立証する方針です。
損害賠償請求金額は
6億円余です。
袴
田
巖

